題名 : 水都ナーレへ行こう!! 後編(*´▽`)ノシ
????「いや〜…まさか、セカンド・クラスの賞金首だったなんてビックリだよね?
あんなヤツに遭遇するハメになるとは思わなかった!」
ナリア「ハァハァ…確かにビックリですけど…は…走るの…早いですね?」
息も切れぎれになる程のかなりの距離…腕を掴まれながら走ったけど、そのスピードはボクの理解を超えている速さ…
周囲は相変わらず崖に近く、森の間際…見晴らしの良い場所に足を止めた。
呼吸を落ち着けつつ…からからと笑う彼にボクは引っかかり続けている疑問を晴らす為、問いかけた。
ナリア「あ、あの…ナナシさん?ボクのこと…覚えてないんですか?ナリアですよ?さっきまで一緒に行動していた…?」
????「ん〜?ナリアくんって言うのか?
さっきから聞いてるけど『ナナシ』って言うのは何者なんだ?」
やっぱり!この人はボクの知っているナナシさんだけど…記憶喪失のナナシさんじゃない!!
って言うか…?記憶が戻ってる?
ナリア「そ、そんな!!川で溺れているアナタを助けて、ボクに「一緒にナーレまで行こう」って言ってくれたんですよ?」
????「いや〜、そうは言われても…そんな記憶は全然ないんだ…
オレの中に残っている記憶は…この迷いの森で…」
ナリア「えっ?こ、この場所ですか?」
????「うん…さっき君が落ちそうになった崖があっただろ?
実はあの崖へと続く道ね…俺が作っちゃって…
んで、下に川があってそこに墜落した記憶が…」
ナリア「何それ!?寂しそうに崖の下を見つめてたのは!!あんたが落ちたからかよ!?」
呆れた!!知らない人が落ちて哀しそうにしてるのかと思いきや!!
このヘッポコヒーロー…自分で落ちてやがるとはッ!!
????「それでね?さっき目が覚めたんだけど…不思議にも体中が傷だらけになっててさ?
森を彷徨っていたら誰が落としたのか…リュックサックに命の水と食料がイッパイ入ってて…
それを全部食べて回復したんだ…」
ナリア「ってか、リュック無くなってたのはアンタのせいかよ〜〜〜〜ッ!!」
ふざけるなよッ!!あの3人分の食料を全部食うってどんな食欲だ!?
しかも回復アイテムまで全部使いやがってッ!!
コレから先、どうしろっていうんだ!!
????「まぁ、キミも大変な敵に出会ったけど…命を失わないように迷いの森を抜けるんだよ?
オレはコレから「会社」に戻るから…元気でね?」
と、ボクに別れの言葉を告げる?
えっ!?ちょ、ちょっとッッッ!?
ナリア「そ、そんな!!待ってくださいよ!!ボクをナーレに連れて行ってくれるって言ってくれたじゃないですか!!」
????「えっ?オレ、そんな依頼を受けていたのか?記憶がないときに…?」
ナリア「い、いや…依頼というより目的が合わさってて…
ボクはナーレに行きたい。あなたはナーレで記憶が戻るかもしれないと…」
????「そうだったのか?でも、オレは記憶をなくしてるつもりはないし…
なにより鬼のように怖い課長が今頃オレの帰りを待ってると思うんだ…
1ドニアも儲けずにブラブラしてたなんて思われたら命は…い…命が…」
と、急に「会社の課長」の言葉が出た瞬間…自称、正義の味方の表情が恐怖に陥る!!
????「や、ヤバイ…オレ、マジで会社に帰るわ…このままじゃさっきの賞金首じゃなくてッ!
か、課長に殺されるッ…!!」
ナリア「そ、そんなに怖い課長さんなんですか?」
????「怖いよ〜〜〜…ご、ごめんなさい…もう給料を減らさないで下さいょぉ〜〜…」
脳裏に焼きつく怖い課長さんに向かって何度も何度も謝り続ける姿はあまりにも滑稽…
この姿を見て、ボクに一つ…アイデアが浮かんだ!
ナリア「それじゃ、ボクをナーレに連れて行ってくださいよ!!正式に依頼という事でお願いします!!」
????「へっ?い、依頼してくれるのかい?こ、このオレに??」
と、右や左を確認しながら自称、正義の味方は首を振る…
大丈夫!!今、この場所にはあなたしか居ませんから。
????「やった!その依頼、引き受けさせてもらうよ!
こう見えても街から町へと続く道は記憶してるんだ。
迷わないようにちゃんと連れて行くからね。」
ナリア「はい、アナタの実力はイマイチ信用できないですけど…よろしくお願いします。」
????「ナニそれ!?オレはやる時はやるんだぞ〜〜?」
と、哀しそうにボクの顔を涙目で見つめるが不安は一切なかった…
目の前に居る「自称、正義の味方」はイマイチ信用できないが…何故だか信頼するには十分だと感じるからだ…
????「よし!依頼も受けたし契約成立だ!!さっさとナーレを目指そう!!」
ナリア「えぇ!よろしくお願いします。あ…?え、え〜〜と?」
ふと、名前を呼ぼうとしたが未だに本名を聞いていなかったことに気付く。
????「あぁ、まだちゃんと自己紹介してなかったね?オレの名前は…」
満面の笑顔をボクに向けながら話している途中…正義の味方の表情が鋭くスッと変わる?
ボクの背後に伸びる影…
それはあまりにも執拗で醜悪な追っ手のものだった。
グラス「に、逃げる相談の途中だった…かしらね?」
ナリア「くそっ!まだ追いかけてきたのか?」
????「まったく、あのままどっか行けばいいのに!!しつこいねん、オカマッ!!」
と、罵声を浴びせるが…
グラス「 ガァッ!! 」
????「 ッ!! 」
ナリア「 うわっ!! 」
気迫で周囲の森の木々が振動でざわめき返る!!
このグラスの表情は最早「真剣モード」なのか?
疲れたように見えるその雰囲気…怒りを見せることはないが…静かな重みを込めている!!
グラス「思い出したわ…観光会社…」
ナリア「 な、なに? 」
グラス「ドルロレには際立って有名な観光会社なんて無いから気にも留めていなかったけどね…
思い出したわ…そうね…隣国イデアには確かにあったわ…」
確か「イデア」っていうは30数年前に立国されたという新興国のことだよな?
ボクのイデアに対する知識はかなり少ないけれど…
ドルロレ同様に人が安らかに過ごせる場所が多い国と聞いている…
????「 …………… 」
こ、この人はドルロレでなくイデアの人だったのか?
グラス「魔の巣食う危険な場所への旅路…
どんな場所であっても旅人に危険無く目的地へとナビゲートするという変わり者共が働く会社…
ある時は…困難な要望でも依頼として引き受けて…良い方向へと導いていくという…
その中でも耳にするのが…強いのか弱いのか?よく分からない戯けた剣士の存在…」
????「 …………… 」
グラス「答えなさい…アナタの名前を…
ワタシをここまでコケにした男…
殺す前に名前だけは覚えておいてあげる…」
グラスの目は本気だ…
さっきまでとは気の張り方がまるで変わり、動くものは全てを消してしまいそうな迫力…
一瞬の隙も見逃してはくれないだろう…
賞金首、セカンド・クラス NO.40 誘惑の吸魂魔 グラス
この驚異的な存在を前に「自称、正義の味方」は冷やかな笑みを見せながら尚も言った…
????「言ったはずだ…お前に名乗る名などない…」
グラス「そう!残念ねッ!!もう何もかもブチ壊してやるッ!!
アンタもナリアもこの森も何もかもッ!!
消してやる〜〜〜ッ!!!」
ナリア「 ウォォッ!? 」
グラスの咆哮と共に紫の魔光が森を駆け抜ける!
だけど、コレはボク達に対する攻撃の光じゃない?
むしろ光よりもグラス自身から「闘気」とも取れるような威圧感が切迫してくる?
????「ナリアくんッ、コレは正念場だ!ヤツは自身を解放して本能で責めてくるぞ!
もう逃げ道は残っていないッ!!やれる覚悟はあるかい?」
旅を始めて経験した…たくさんの危険…
その困難の殆どがチャーチルに化けたグラスと打ち砕いてきた…
真実を知り、ボク1人だと確信した瞬間に「逃げ道」を選び…結果、人に助けられた…
ボクの目の前…庇うように立っているイデアの自称、正義の味方に…
ボクは結局…1人では戦えていない…
たった1人でも戦う…
そんな勇気がボクの中に有るのか無いのかも分からないまま…
この状況に出会ってしまった…
でも、だからと言って…この状況でまた逃げ道を選ぶ事をしてしまったら…
ボクは、ボクの夢を二度と叶えることができなくなるような気がする…
彼は言った…
『この迷いの森に「逃げ道」は無いんだよ…』と…
だったら…ボクが進む道は決まっているッ!!
ナリア「やります!もうボクは例え1人であっても「逃げ道」の上は歩かない…
ここからは夢を掴む「栄光への道」を歩きたい…」
そうだ!ボクは覚悟を決めて村を出た!!
ボクはもう、絶対に迷わないぞ!!
グラス『これが…ワタシの本当の姿だァァ〜〜〜〜〜ッ!!!』
突如!どこまでも轟きそうな叫び声と同時にボク達の前に現した本性!
ナリア「 な、なんだ?体が…体が岩石で出来ているだって?? 」
????「 元は『ストーンゴーレム』だったかッ!! 」
見上げる事でようやく緑の目を持つ顔が確認できる程のデカさ…
いくつもの鈍い黄色の岩石に包まれた無機物の体は、
いたるところで生命の息吹が光となって脈打ちかえる…
それは小型の岩石から心音と同じタイミングで発光しているが…
100近いヶ所からランダムに発光…
そして…時折聞こえる…かすかな音?
いや!違うッ!!コレは?
「た…たすけて…」
「もう…家に帰りたい…」
「いやだ…体に…体に戻りたい…」
コレはたくさんの小さな悲鳴…!?
コレはまさか!?
ナリア「い、今まで襲ってきた男たちの魂か!?」
グラス「い、命が欲しかった…飛び切りの騒ぎ立てる命が…欲しかったのよッ!!
ワタシの…ワタシだけの命が欲しかったのよぉッ!!」
????「その命を得る為に幾人もの人たちを犠牲にしやがって…」
グラス「煩い…迷いの森に入り…道に迷い…自分に迷い…生き方に迷い…私の言葉に迷う男たちが悪いのよ…
騙される方が〜〜〜悪いのよぉおぉ〜〜〜〜ッ!!」
ボク達を目掛けて大きく振り下ろされる岩石のコブシは小さなクレーターを作るほどの威力!!
腕を振るのに邪魔な木々を…お構い無しに薙ぎ倒しながらの攻撃!!
ナリア「うわっ?こいつ魔法使いじゃなかったのか?」
????「人間の男達から奪った魔力が切れたから魔物に変身したんだ!
いや、変身っていうか…むしろコッチの方が本性かもしれない!!」
人間の姿から魔物の姿に変身…いや変態したグラスは魔法使いとしての脅威から、
純粋な破壊者としての脅威へと変わる。
それを前にボクは銅の剣で応戦!!
!!
でも!!よく考えたら!!!
ナリア「ちょっと!!よく考えたら!!」
グラス「武器を持っているのはナリアだけッ!!素手で私に勝てると思ったの?名も無きオトコッ!!」
縦横無尽に襲い掛かるグラスの両腕をスピードで回避し続けていた自称、正義の味方…
????「 ッ… 」
岩石の拳を淡く掠めた頬から血が垂れ落ちる…
????「ふん!!そうだな?そろそろオレも本気を出すよ…」
と、言って…
蒼いブレスレットを着けた左腕をゆっくりと夜空へ向かって上げていく…
ナリア「いったい…何を?」
グラス「ブレスレット?まさか!そのブレスレットに特殊能力でも!?」
自信に溢れた表情はボクの期待を増幅させていく!!
やっぱり!タダの貧民風味の男性じゃなかったんだ!!
????「変身できるのが!!キサマだけの特技だなんて思うなよッ!?」
言った瞬間!!自称、正義の味方の姿が青い光で包まれる!!
グラス「 グォォッ!!? 」
そして光が消えた瞬間…彼は「装備品」を身につけた姿にッ!!
その姿は…
その姿はッ!!?
グラス「 …………… 」
????「キサマに名乗る気などは毛頭無かったがッ!!オレがイデアツー…」
ナリア「ちょっと待て〜〜〜〜〜ッ!!!」
????「うおぉっ!?な、なんやのん、ナリアくんっ?急に大声出して?
今、オレ的にはトッテモトッテモ大事な場面なんだよね?
そ、それを…こういうやり方?っていうのかな?ちょっとイレギュラーすぎて…」
ボクの大声に慌て気味な、「自分の事を正義の味方と言い続けてきた男」…
その男の装備品を前にボクは苛立ちがつのり…ストーンゴーレムは呆れ返った表情をしている…
ナリア「あ…アンタ…それは一体どういうことだ?」
グラス「 …………… 」
????「えっ?一体って…?オ、オレのドコかにご不満でもッ??」
グラス「 …………… 」
ナリア「あのさ?古びてながらも上質なコノ蒼いマントは理解出来るよ?」
????「あぁ!オレの一張羅の蒼いマントッ!!最近になってコイツに『ヤスノ・ブルー』って名づけたんだ!!」
ナリア「あぁ…そこまではいいさ?だけどさ…そのマント以外のことだよ…」
????「はぁ…マント以外?といいますと?」
グラス「 …………… 」
コイツ…最後まで言わなきゃ解らないバカだったのかッ!?
ナリア「オマエッ!!ボクの装備品とまったく同じじゃないかァァ〜〜〜〜ッ!!!」
そうなのだ!!正義の味方と言い続けていたコノ男…採算に渡って期待させた挙句に
装備しているモノがボクとまったく変わらない「銅の剣」と「皮の鎧」!!
しかも心なしか新品の皮の匂いがプ〜ンを臭ってくる!?
コイツ、本当はオレよりも弱いんじゃないのか!?
????「な、べ…別にええやんか!?装備品が正義の味方の基準でもなしッ!!
前は社長に借りていた剣を持ってたけど…『とある事情』があって、返しちゃったからオレの剣はコレなんだ!!
この剣だって最近になってやっと手に入れたんだぞ?」
グラス「 …………… 」
ナリア「ふざけるなよ!!こんなのでッ!!こんな銅の剣と皮の鎧で「栄光への道」を歩けるかよ〜〜〜!!」
????「なっ?オマエッ!!オレの「ヤスノ・ブレード」と「ヤスノ・ブレザー」をバカにするなよ?」
こいつチャッカリと…なんの価値も無い装備品に名前をつけてやがる…
弟のガイチは装備品を身につけて旅立つ前のボクを「空想をおかずに…」とか言ってたが…
目の前の男は「現実をおもちゃに…」してやがる…
ナリア「うわぁ〜〜〜…これじゃむしろ「無装備」でストーンゴーレムとやり合ってくれてる方が心強かったァァ!!」
????「オ、オマッ!?何言ってんのッ!?
あんな岩石殴ったら手から血が出るだろ?ってか骨が折れるよ!!
ウチの課長じゃあるまいし!!そんなマネが出来るかァ!!」
ナリア「いや!もう…それだったらアンタじゃなくて課長さんに依頼したかったよッ!!
その課長さんの方が絶対頼りになりそうだッ!!」
グラス「 …………… 」
????「なんだよ!この期に及んで…その複雑に蔑んだ表情はッ!!
その気になったら…そりゃオマエッ!オレだって!あんなストーンゴーレムぐらい…」
グラス「 …………… 」
????「 …………… 」
ナリア「 …………… 」
グラス「 …………… 」
????「 …………… 」
ナリア「 …………… 」
????「 さぁ!!一緒に戦おうか!?ナリアくん!! 」
ナリア「 くそ〜〜〜〜!!もう破れかぶれだぁぁ〜〜〜〜!!! 」
グラス「そんな破れかぶれで私に勝てるかぁぁ〜〜〜〜ッ!!!」
チュド〜〜〜ンと爆音が連続するグラスの高威力の拳撃攻撃がボク達に向かって襲い来る。
それを少し涙目になりつつも回避しての攻撃…
????「よし!ナイスだ!!オレ達の『ちまちま攻撃』が地味に効いているぞ!」
ナリア「うっさい!!ヤル気が削げる言い方するなぁッ!!」
気分の悪くなる現状…
しかし…
グラス「グゥゥッ…」
それでも…
グラス「きさまら…ちょこまかと…」
ダメ・正義の味方の言うとおり、ちまちました攻撃を続けているが…
グラスの攻撃は無駄な大振りが多く軽く回避できる!!
ナリア「こ、これは…?」
まるで舞いでも踊るかのように回避できて…攻撃が華麗にヒットしていく!!?
な、何故だ?
????「そら!もう一丁!!」
グラス「ぐふッ!!オノレ!!小賢しい!!」
ナリア「こ、これは!!!」
????「弱いと思ってバカにしてるだろ?悔しかったらオレをサッサと倒してみろょ?」
ダメ・正義の味方は敵の眼前を高速で跳び回りつつ、
スピードばかりで致命傷にはなりそうも無い威力だが腕の関節部を狙い打っている…
その意味はグラスが隙を見て、ボクに襲いかかりそうになると…
????「てりゃぁ!」
グラス「ちぃっ!!コイツッ!!?」
拳撃のスピードが乗る前にダメ・正義の味方がグラスの関節を攻撃!!
完全にグラスの意識を散乱させる戦い方だ!!
こ、これって…一体?
????「どうだ!!『クラージュ流剣戟術、庇心・二十代の陣』だッ!!」
グラス「グアァッ!!イ、イライラするッ!!マトモに攻撃が出来ないッ!!
ク、クラージュ流…?まさか、これが噂に聞くイデアの公爵…鬼の剣戟術ッ?」
????「そうさッ!クラージュさんがオレに手取り足取り…
思い出すのもトラウマになるくらい優しく優しく優しく優しく愛情を注いで教えてくれた剣戟術だ!!
オレがトコトン(精神的に)追い詰められた様に…オマエもトコトン(精神的に)追い詰めてやるぞ!!」
ナリア「すごい!!グラスの攻撃が襲ってくる前に…あの人が邪魔してくれてる!!」
なんて戦いやすいんだろう?これなら…時間を掛ければ十分にグラスを?
ボク達が…セカンド・クラスの賞金首を倒せるかもしれない!?
思いがけない大金星…?
世界でも100に入る大物首の討伐…?
夢か幻とも思える戦士の栄光が…現実になる?
そう心に…
グラス「 あぁ!!もう!!消えて…消えて無くなれェェ!!!」
????「 ナッ!?ヤ…ヤバッ!?」
過ぎった瞬間のことだった…
ナリア「 …ッ!?」
意識も追いつかない刹那…音も無く眼前が紫色に染まる…
その高出力の威力はさっき、ボクが見たもの…
さっき…ナナシに化けていたグラスが放った時のもの…
一瞬にしてボクの眼前は紫色から…黒色へと変貌を遂げ…
ボクの周辺の木々や岩ですらもが綺麗に吹き飛んでいった…
グラス「ア〜〜〜ッハッハッハ…!!!ア〜〜〜ッハッハッハッハッハァァ……」
鼓膜が破れるとも思える大爆音のなか…混乱と共にグラスの下卑た笑い声だけが聞こえる…?
ボクは…?
ボクの体も…コノ威力で…吹き飛んで?
目の前が真っ暗になったのか…?
グラス「コレがワタシの奥の手ッ!!「ソウル・デスパィア」よ!!
魔力が少しずつ自然回復して…やっと1発分溜まってくれた!!
岩石の体になって使えなくなったと思ったのかしらッ!?
セカンド・クラスの賞金首を見くびったのがアンタ達の敗因よ〜〜〜ッ!!」
マトモに正面から「ソウル・デスパィア」を受けて…皮の鎧程度の装備品で生きていられるわけも無い…
今、ボクがグラスの声を聞いているのは…
肉体を失った…魂なのだろうか?
悔しさ溢れる…不可解な現状の中…
????「かはっ!!大した威力だ…」
ボクの耳に届く希望溢れる…正義の味方の声…
グラス「な…こ、これを…凌ぎきった?」
少しずつ冷静さを取り戻し、目を開けると…
前には蒼いマントでボクの体を覆うように立っている正義の味方の姿…
????「この蒼いマント…「ヤスノ・ブルー」は…魔物の攻撃は全て受け付けないのさ…」
と、言って蒼いマントを大きく翻して再度…グラスに向かって銅の剣を構える…
ナリア「 ハァ…ハァ… 」
九死に一生を得たと思うと、心臓が張り裂けそうに鼓動が高鳴る…
一瞬の油断が、完全な命取り…
この状況を…戦い抜く?
ボクは…生き残れるのか?
一抹の不安は覚悟を決めたボクの真っ白だった実直な精神を急速に黒く、黒く塗りつぶそうと侵食していく…
更に…ボクの前に…
その侵食のスピードを速める現実…
????「 クッ… 」
グラリと体が崩れる正義の味方の姿…
その足はソウル・デスパィアの威力で完全に身を削がれている!!
グラス「 オ〜〜〜ッホッホッホ… その蒼いマントでは大人二人が身を隠すには小さかったようね?
大事な「アンヨ」が出ていたようよ?」
????「うるさいなッ!!「ヤスノ・ブーツ」さえ履いていれば…防ぎきれたんだッ!!
いつものクセってヤツだよッ!!」
と、言いながら地面に膝をつきながらも攻撃の姿勢を取る…
強大な相手を前にして闘う正義の味方…
それが力及ばず、追い込まれる…
ダ、ダメだッ!!このままじゃ…二人ともグラスに殺されるッ!!
????「(ナリアくん…)」
ナリア「 …? 」
グラスには届かない程度の小声がボクへと届く…
するとグラスの死角になる位置で…指を外側へと弾いた…
こ、これは??
????「オレが今から仕掛けるから…ナリアくんは同時に水都ナーレ方向の森の奥へと走れ…
そして白いリボンをつけたポニーテールの女の人…百絵という女の人を探し出すんだ!!」
ナリア「百絵…お、女の人?」
????「さっきから言ってたウチの課長さ…
「帰ってこないオレを絶対に減給してやろう」ってオレを探しているはずだ…
でも、その人は必ずこいつを倒してくれる…ナリアくん…
悪いがその人を探し出してくれ…水都ナーレに着くまでには見つかるはずだ…」
ナリア「 …………… 」
この人の言っている事はオカシイことが多い…
地図にすら道は無く…ナーレへは方向程度しか解らない迷いの森だぞ?
そんな中で課長の百絵さんに出会える可能性なんて限りなくゼロに等しい!!
よしんば…その百絵さんを見つけることが出来たとしても…その時にはアンタの命は…?
アンタは…ボクを少しでも生かそうとして嘘をついているんじゃないのかッ!!
????「頼んだぞ!!」
ナリア「ちょッ!!待てよッ!!」
ボクの躊躇に気付きもしない正義の味方は力を振り絞ってグラスへと砂煙を上げつつ突進ッ!!
その鬼気迫るスピードは命を懸けているといっても過言じゃない!?
????「喰らえ!!コレがオレの必殺技の一つ!『ヤスノ・ブランチ』だ!!」
グラス「ナ、ナニッ!?」
ナリア「うッ!!こ、これは?2人に?増えたッ!?」
グラスの眼前、蒼いマントを翻した正義の味方が残像を残して2人に増える!!
虚をついて大ダメージを与える寸法なのだろう…
????「どちらがオレか…わからないだろ!!」
だけど…
グラス「 …………… 」
こ、これじゃ…
グラス「 クスッ… 」
コレじゃダメだよッ!!
グラス「 アハッ…こっちかしら? 」
ナリア「ダメだ!!足から血が出すぎてて!!本体がわかっちゃうよッ!!!」
????「 ッッッッッッ!!?」
薙がれた岩石の拳が完全にクリーンヒット!!
メキッと…骨が軋む音と共に…
ソウル・デスパィアの威力で平坦になった大地へと吹き飛ばされた!!
????「 グワァァ〜〜〜〜ッッ!! 」
叩きつけられた投石の様に、地面に数度衝撃を受けつつ倒れこむ正義の味方の姿は…
完全にボク達の敗北を意味している…
グラス「無駄な人生…ご苦労様ね? さぁ、アナタはコレでオワリ… 」
と、無機の表情で冷酷な岩石がゆっくりとトドメを刺しに巨体を進める。
ピクリとも動かなくなった正義の味方…
それを前に…
ボクは…
ナリア「 ボ、ボクは… 」
………………………
……………
………
アッピー「gyuっ!gyu〜〜〜〜ッ!!!」
野うさぎ「;=゚Д゚)コソッ」
ナリア「なんだ?野うさぎまでボクのパンを狙っているのか?」
アッピー「gyuッ?gyuっ!gyu〜〜〜〜ッ!!!」
ナリア「なんだ?コイツ、アッピーのクセに野うさぎをかばってる…?」
野うさぎ「 →(=。_。)ハァハァ 」
ナリア「えっ?野うさぎに矢が刺さってるのか?」
アッピー「gyuッ!gyuッ!!」
………………………
……………
………
あの時の「アッピーと野うさぎ」を思い出す…
あの時、アッピーはボクに敵わないと知っていただろう…
それでも、大事な友達である野うさぎを助けるために自分を投げ出して食料を求めた…
火にまみれて、満身創痍になりながらも…矢が刺さり、息も絶え絶えの野うさぎを…身を挺して守ろうとした…
彼らは守り通したんだ…
今、ボクの鎧の内側には…あの時、アッピーがくれた林檎の形をしたルビーが秘められている。
あの時、彼らに思いの重みを教えてもらった…
ボクは…
ナリア「 ボ、ボクは… 」
グラス「 …………… 」
????「 うっ!? 」
グラス「なぁに?ナリアちゃん?心配しなくてもアナタも後で殺してあげるわよ?
どうしても生かして欲しいって言うなら私の体の中で魂だけになるけど…?
それでイイかしら?」
頼む、あの時のアッピーと野うさぎよ…
ボクにもキミ達のような…気高くも誇り高い勇気を…与えてくれ…
ナリア「行くぞ、グラス!!ここからは!!ボクが相手だっ!!」
グラス「やだっ!本気で私と戦うつもり!?
凄いわ!ナリアっ!!流石は私が見込んだオトコっ★
本当は肉を散らせて殺してやろうと思ってたけどっ…」
????「うぅ…ナリアくん…」
ストーンゴーレムとなったグラスの緑の目が不気味に輝く…
それに対して臆した心を押さえ込んで、ボクは戦い挑む…
グラス「寿(ことほそ)ぎなさい!!晴れてワタシのコレクション入りよッ!!」
的確なグラスの拳撃は先程の様な甘いものではなく、速く…鋭く…強い連撃…
致命傷に至ると直ぐに理解できる…
ナリア「負けるかっ!!諦めるか!!これでもかっ!?これでもかぁぁ〜〜ッ!!」
2度、3度とボクの攻撃がグラスにHITする…
硬い体に覆われた魔物…それでも、剣での攻撃はグラスにとって全くの無傷では無く
少しずつダメージを与えていく…
希望を忘れない!!
負けないんだ!!
諦めないんだ!!
グラス「くっ!!まさか本当にこれ程までに…強くなったわね?ナリア…
今なら貴方だけは助けてあげても良いかなァ?」
どこまでも人を…人間を馬鹿にした誘惑…
何を今更?ボクはもうっ!!
ナリア「ウルサい! もう絶対に!! 迷わないぞ!!!」
グラス「あ、そう?じゃ、とりあえず気を失ってね!?」
と、言葉を発しながら背を向けるグラスは、そのまま裏拳をボクに目掛けて放つ…
ナリア「うっ?わぁっ!?」
今までとは違った拳の軌道はボクの虚を突くには十分だった…
地に響く振動と共にグラスの姿が回転していく…
ボクは完全にグラスの裏拳の軌道に支配されていた…
ナリア「 っ? 」
なのに!!
ナリア「 えっ?ノ、ノーダメージッ!?」
ボクの体には全くダメージはなく、地面に倒れ込んでいるのは…
こめかみの箇所に「青い魔力の矢」が刺さったグラス!!
グラス「な、何よ!?なんでワタシが地面に倒れ込んでいるの!?
あ、頭がっ!!頭が…崩れるッ!?」
?????「ストーンゴーレムの弱点は頭部…
前頭部から後頭部までの箇所は岩石による被覆は特に薄く…
効率的なダメージを与える事ができる…
先生の授業…ちゃんと聞いていないからこういう事になるのよ?」
ナリア「あ…あぁ…」
思いも掛けなかった声…
迷いの森で…グラスと分かった瞬間…
もう二度と聞く事は叶わないかもしれないとまで思った…
チャーチル「ナリアッ!大丈夫ッ!?」
指には13歳の誕生日に貰ったという「サファイアリング」
身に纏うのは14歳の時の誕生日に貰っていた「月光のローブ」
そして…ボクも見た事がなかった魔力増幅が可能な「パンデモニウム」という金属の杖を構えていた…
きっとあの金属の杖が15歳の誕生日に貰った物なのだろう…
間違いない!!彼女は…
彼女は本物のチャーチルだッ!!
????「今を逃すなッ!!回復魔法を使われる前にもう一撃入れれば…勝てるッ!!」
絶望的だった状況に現れた希望の光がボクの背中を押してくれる…
ボクは全身全霊の力でグラスへと駆けていった…
グラス「やだぁッ!アンタなんかにッ!!アンタなんかにッ殺されないわよぉ〜〜〜ッ!!!」
怒声を上げるグラスは渾身の力でボクに応戦…
寸前の所で…
ナリア「う、うわぁ〜〜ッ!!」
チャーチル「ッ!ナリアッ!?」
????「じ、地面の石につまずいたッ!?」
体勢を完全に崩したボクの頭上にグラスの巨大な岩の拳が降り注ぐ…
その拳からボクは目を反らす事無く…
『 『 『 『 『 『 !!!!!!ドガ〜〜〜〜〜ン!!!!!! 』 』 』 』 』 』
チャーチル「ナリア〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」
グラス「やった?ワタシの勝ちよ、ナリア!」
????「 …………… 」
チャーチル「な、何やってんのよ!!私が助けに来たのにッ!なんで…そ…そんな…
い、嫌だよ!!ナリアッ!」
グラス「アハハハハ… どれだけわめき叫んでも私の勝ち… お嬢ちゃんのその姿…チャーチルね?
旅の間、貴女の事をナリアの脳から調べて変身させて貰ったわ…
ナリアは貴女の事がとっても大好きだったみたいよ?」
チャーチル「 よ、よくも…ナリアを…よくもッ!!よくもぉ〜〜〜ッ!!! 」
グラス「ア〜〜〜ッハッハッハ…チャーチル…貴女も大好きだった彼氏のもとに送って上げるわ…」
????「 ハハハハハ… 」
チャーチル「ッ!?わ、笑うって何よッ!!!」
グラス「何?アンタ…ナリアを殺されて気でも触れたの?」
ナリア「 勝手に人を殺すなよ…? 」
グラス「 ッ! 」
チャーチル「えっ!?」
????「 …………… 」
人の思いをペラペラと…
魔物って言うのはこうまでもデリカシーが無いのかと思うと腹が立つ…
????「ハハハ…オレの「ヤスノ・ブランチ」を…こうまで見事に…」
始終、僅かな笑みを見せていた正義の味方…
この人には最初からバレていたようだ…
さっき見せてもらった…「分身を発生させて回避率をアップする技」…
見よう見まねだったけど上手くいって良かった…
お陰で完全にグラスの背後へ回り込む事ができて…隙だらけの後頭部を目掛けて剣を振り下ろせる!!
チャーチル「 ナリアっ!!生きているのッ?? 」
グラスがデカすぎてボクの姿が見えなかった様だね…チャーチル…
心配を掛けてゴメンよ…
でも、これでもう…終わりだ…
????「無機質の体…拳に痛覚が無かったのが…お前の敗因だな…
セカンド・クラス No.40 誘惑の吸魂魔 グラス…
ナリアくんの…「勝ち」だよ…」
グラス「そんな!?さ、最後の最後に……?」
無機質な体に無機質な心のオマエじゃ理解できないだろうな…
ボクの思いに…チャーチルの思いなんて…
グラス「最後の最後に……私を……私を、騙したですって〜〜〜〜ッ!!?」
その一驚がお前の最後だ…
そうだ…魂消(たまげ)ろ…
お前の言っていた戯れ言…見事に還させて貰う!!!
ナリア「騙される方が…悪いんだろ?」
グラス「!!!!!!ッッッッ〜〜チクショ〜〜〜〜〜ッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!」
無防備の頭を目掛けて、全身をバネにした渾身の一撃!!
ガパ〜〜〜ンという大きな音と共に真っ二つのなったグラスの頭部…
そこから夜空へと向かって色取りどりな無数の光が開放される…
グラス「いやぁ〜〜!!私の魂がっ…行かないでッ!!私だけのタクサンの魂がぁ〜〜…」
グラスによって閉じこめられていた魂は…スルリスルリとグラスの岩石の手をすり抜けて…
ある者は森の奥へ…
ある者は水都ナーレの方角へ…
ある者は海の向こうへと飛んでいく。
????「きっと帰るべき場所に帰っていくんだな…よかった…」
グラス「そんな…私が…こんな「ポッと出」の…新米剣士たちに…」
全ての魂が抜けきって空っぽになったグラスの肉体から…最後の魂が抜ける時…
体をボクたちの方へと震わせながら振り向けるが、その無力に痩つれた風貌は…
賞金首としての脅威など微塵も残していない。
ナリア「 …………… 」
グラス「み、見ないでよ…見ないでッ…ワタシの…こんな最後は…こんな最期はァァッ!!!」
チャーチル「何を今更…」
????「 …………… 」
惨めに朽ちる末路のみを遺したグラスだったが…
男たちの命を閉じ込めただけで消し去った訳ではなかった…
ボクを再三に渡り、苦しめた敵…
それでもボクはどうしても一言を贈りたくて口にした…
ナリア「ありがとう…グラス…」
グラス「 ッ!? 」
チャーチル「何、言ってんのッ?」
????「 ? 」
ボクの言葉にその場に居る全てが疑問に満ちた表情…
単純なことだよ…
ナリア「ボクに「大事な人が誰だったか…」を…教えてくれて…」
チャーチル「 な、何よ?それってどういうこと??」
????「 … 」
疑問に満ちたチャーチルと、うっすら笑みを向けてくれた正義の味方…
そして…命、間際の賞金首は歯を食いしばりながら俯くと…
グラス「ッ…あなたの命を得られなかった意味が…今、少しだけわかった様な気がするわ…」
言って…
無機質だった岩石の体から最期の魂が夜空の星へと旅立っていった…
願わくば、この次…生まれ変わる時は…
「心だけ女」というパターンでは無い事を祈りたい…
(○ナリア&????&チャーチル vs ●2級賞金首 No.40 誘惑の吸魂魔 グラス
「決め技 ウイロウ&クリティカルヒット」 )
………………………………
………………
チャーチル「さぁ、これで完全に回復しましたよ?」
????「いやぁ…ありがとう!チャーチル様。恩に着るよ。」
チャーチル「な、なんで「様」付けなんですか?チャーチルって呼び捨てで構いませんよ?」
????「あれ?そ、そう言えばそうだね?
なんか「呼び捨て」でも「ちゃん付け」でも「さん付け」でも…
キミに怒られるような気がして…」
チャーチル「そんな〜〜…私はそんな事で怒ったりしませんよ?」
????「そうかい?じゃ、チャーチルちゃんって呼ばせてもらうね?」
チャーチル「はい。でもあなたって面白い方ですね?」
????「そうかな?オレはいつもこんな感じだよ?」
グラスが化けていたチャーチルとは打って変わって談笑する光景…
チャーチルが優しく微笑むと親近感が溢れる正義の味方。
死闘を終え、ボク達は回復のために束の間の休息を取っていた。
満身創痍だったにも係わらず正義の味方はたった5回のキュアで完全に体力が回復…
しかも所要時間はたったの2分…
ボクの知らない間にチャーチルは大した魔法使いになっていた様だ。
正直、感心する。
チャーチル「さて、次は…」
と、マナの水で魔力補給を終えたチャーチルがボクの方へと近寄ってくる。
ナリア「あぁ…ありがとう、チャーチル。今のキミだったらキュア2回で回復できそうだ…」
チャーチル「あはは…そうだね〜〜〜…」
と、笑いながら…何気ない会話をしている…完全に油断している状態だった…
チャーチル「ナリアの馬鹿チンがぁァ〜〜〜〜〜ッ!!!」
ナリア「うわぁッ!」
????「 !? 」
思いっきり振り下ろされた掌がボクの頬を強襲!
思いがけないビンタはボクの体と心臓に大きな衝撃を与えた!!
な、なんで急にこんな事をッ!?
わ、訳がわからないッ!!
ナリア「な、何するだよ!!今のビンタでキュア3回分のダメージになったじゃないかッ!!」
チャーチル「この馬鹿ッ!なんで私が怒っているのか分からないの?」
ナリア「えっ?チャーチルが怒っている原因?」
突然の叱咤がボクの今までの行動を思い返させる…
ナリア「 …………… 」
チャーチル「 …………… 」
あぁ…チャーチルが怒って当然だよな。
みんなに黙っていきなり村を出て、心配を掛けまくったもんなぁ…
きっと父さんも母さんもガイチも…村のみんなにも凄い心配を掛けているだろう…
これは素直に謝ったほうが…当然イイに決まってるよな…
ナリア「ごめんよ、チャーチル…心配を掛けて。村のみんなにも大分迷惑を掛けただろうね…
黙って村を出てきたことは悪かったと思ってるよ…」
チャーチル「 ッ!! 」
ボクの反省の姿勢にチャーチルは歯を食いしばりながら…うつむいているようだ…
素直に謝ったもんな…普段のボクには珍しい態度…
十分に誠意は伝わったはず…
チャーチル「ナリアの馬鹿チンがぁァ〜〜〜〜〜ッ!!!」
ナリア「エェ〜〜〜〜ッ?」
????「 !? 」
思いっきり振り下ろされた掌がボクの頬をもう一度強襲!?
思いがけないビンタはボクの体と心臓に2度目の大きな衝撃を与えた!!
な、なんでッ!?
ボクはちゃんと謝ったじゃないかッ!?
本当にもう!わ、訳がわからないよッ!!
チャーチル「12歳の時の…誕生日ッ!!」
ナリア「えっ?じゅ、12歳??チャーチルの…誕生日のことかい?」
チャーチル「完全に忘れてるってどういう事よ〜〜〜〜ッ!!!」
やめて!!逃走と戦いで痛い思いを結構してるんだよ?叩くのは…グーで叩くのはやめてくれッ!!
????「や、やめるんだチャーチルちゃん!!ナリアくんのキュア必要回数が10回を越えちゃうぞッ!?」
チャーチル「 ッ! 」
正義の味方の仲裁で興奮気味にもようやく落ち着きが戻るチャーチル…
それでも肩で大きく息を吸い、目には涙がうっすらと浮かんでいる?
12歳の誕生日だって?
チャーチルの12歳の誕生日…?
確か…あの頃のチャーチルは誕生日のプレゼントに…
おばさんから「でっかいクマのぬいぐるみ」を貰って自慢していたよな…?
確か…あの時ボクはチャーチルの事を子供っぽいって言って…
あ、あれ…あの時…確か…
ナリア「まさか…あの時にチャーチルと…約束していた…?」
チャーチル「思い出したかッ!!この馬鹿チンがッ!!」
????「 ? 」
そうだ…確かあの時…プレゼントの話になったんだ…
………………………
…………
ナリア「チャーチル…折角の誕生日プレゼントだって言うのに…そんな実用性の無い物を貰ってどうするんだよ?」
チャーチル「なんで?私、このヌイグルミを貰うの…すっごく楽しみにしていたんだよ?」
ナリア「ボクは15歳の誕生日になったら水都ナーレに行くって決めてるんだ!!
その時のためにプレゼントには「現金を貰い続ける」って決めてるのさッ!!」
チャーチル「うっわ〜〜…夢も希望も無いプレゼントを要求するんだね〜〜〜」
ナリア「う、うるさいなぁ!それが一番旅には欠かせない物なんだ?チャーチルだって分かるだろ?」
チャーチル「う〜〜ん…でも、水都ナーレに行くんだったら…現金よりもっとイイ物があると思うけど…?」
ナリア「なんだとぉ?じゃ、ボクが15歳になった時に証明してやるよ!!
旅をするにはドニアが必要だってね!!」
チャーチル「よ〜〜し!じゃ、私もナリアと一緒に水都ナーレに行く!
私は自慢の誕生日プレゼントを身に着けて旅をするんだ…」
ナリア「えぇ!?チャーチルもボクと一緒に旅をするのかい?」
チャーチル「ダメ?私は魔法使いになりたいから、来年からママに装備品を買ってもらう事にするよ。」
ナリア「あはは、それは面白いね。ボクは何になりたいかはイマイチ決めかねているけど…
ボクが15歳になったら…一緒に…」
チャーチル「うん、ナリア…約束だよ?一緒に…」
………………………
…………
『水都、ナーレへ行こう!』
………………………
…………
チャーチル「約束…したでしょ〜〜〜…」
ナリア「あぁ……し…た…」
ポロポロと涙を零して泣き崩れるチャーチルの姿でボクの中の罪悪感がパンク寸前まで膨らんでいる。
参った…そうだったよ…
しちゃってたよ…
ボクはあの時、確かにチャーチルと約束しちゃってたのに…
それを忘れて自分だけの心の中に閉じ込めたままにしていた…
なんて都合が良い脳細胞なんだ?ボクの記憶回路は!?
いや、待てよ?た、確かあの後…
水都ナーレへ向かう → チャーチルが一緒 → 綺麗なお姉さんと遊べない →
やっぱり約束は無かったことにしておこう → そもそも約束してなかったと改ざん… → 忘れる
そ、そんなルートで…約束自体を忘れてしまったような…?
????「泣〜かした…泣〜かした〜〜…」
ナリア「うっさいッ!!ボクだって今、すっごく悪いことをしちゃったって反省してるんです!!
これ以上追い込まないで下さいッ!!」
正義の味方のジトっとした視線がとっても痛い…
は、ハリのムシロだよ…
チャーチル「ちゃんと3年間、魔法使いの装備をプレゼントして貰ってたのに…」
ナリア「うぐっ!」
た、確かに…ちゃんと貰っていたよね…
ボクが貯めまくったドニアは旅の途中でバブルが発生して無意味に感じるほどだったよ…
キミの判断は正しかったと言わざるを得ない…
チャーチル「ちゃんと3年間、魔法使いの勉強もしてたのに…」
ナリア「グフッ!」
そうだねッ!ボクって剣術の勉強とか…あまりしてなかったから今回の旅は大変な思いをしたよッ!!
でもさっ!この旅で大分強くなれたと思うよッ!!
????「まぁ、ナリアくんってば…そういう男の子だったって割り切ろうね?元気だそッ?ねっ?」
チャーチル「はい…そうします…」
ナリア「う…うぅぅ…」
後悔先に立たず…とは言うが…
今…ボクの中にあるのは「後悔」の2文字だけ…
どうすれば…どうすればチャーチルの心の傷を拭うことができるのか…?
ボクには答えが見えてこない…
??????「おぃ?チャーチル…?C地点はどうだ?魔物に襲われたりしてないか?」
ナリア「うぉおッ!?だ、誰だ!?」
その場に居る誰のモノでもない突然の声に心臓が飛び出る程の驚き!!
その声はチャーチルの着る月光のローブの内側から響いてくる?
チャーチル「ッ!シッ!静かにして…『水の精霊』の通信宝玉だよ…」
ナナシ「あぁ…?確か遠くに離れた人と会話ができるって言うヤツだよね?」
コクリと小さく頷くと、ソッと懐から青い宝玉を取り出して目を閉じるチャーチル…
宝玉に少しばかりのマナを送り込み、仄かな光で包み込むとゆっくりと話しかけた…
チャーチル「御風さん…3度目の光が発生したC地点に到着してますが魔物はいません…大丈夫ですよ?」
御風さん?御風さんって言ったら先生の他に村でナーレへ行った事がある戦士の人じゃないか…
な、なんで御風さんがチャーチルと?
??「まったく!アレムって戦士がナーレに向かったって教えてくれたから探しに来たまではいいけど…
ナリアの馬鹿はドコに行ったの??A地点にはナリアはいないわ…」
ナリア「せ、先生ッ!?先生の声じゃないか??」
懸命に声を出さないように歯を食いしばるが…思いがけない声に度肝を抜かれる…
この3者通話の会話からして…どうやらこの迷いの森に2人が居るようだが…
あの時、森で出会った不思議な戦士…アレムさんの名前が先生の口から出てくるって事は…
む、村のみんなにボクのことをチクったのか?
間違いなく、ボクを連れ戻しに来たに違いないッ!!
ナナシ「むむ?この女の人の声がナリアくんの先生なのかい?」
ナリア「シィィィィ〜〜〜〜ッ!!ナナシさん…こ、小声で…小声でッ!!」
御風「あにちゃさん…ソッチもハズレですか…」
あにちゃ先生「えぇ…アイツは本当にミンナに迷惑を掛けるヤツね…見つけたらタダじゃおかないんだから…」
御風「なぁ、チャーチル…その付近にナリアの痕跡らしきものも無いのか?」
チャーチル「 ……………… 」
ナリア「ッ!!」
御風さんの質問にチャーチルの沈黙!!
や、やばいよ!!こ、ここでボクの事を話されたら…
確実に村へ強制送還されちゃうよッ?
チラリとボクの顔を伺うチャーチルの表情は少し蔑みの表情…
こ、これは…
チャーチル「 …………… 」
あにちゃ先生「 どうしたの?チャーチル…?」
御風「 ? 」
????「 …………… 」
チャーチル「ナリアなんて…居ませんよ…全然…」
ナリア「 ふ…ふぅ… 」
血の気が引いて青ざめたけど…チャーチルの機転で九死に一生!!
よ、良かったッ!とりあえずは首の皮一枚で命が繋がった…
無言で両手を合わせてチャーチル様に感謝の気持ちを送るが、彼女は続けて言った…
チャーチル「でも先生…ここまでの距離は水都ナーレまで残り50%程ですよね…
もう、ナリアを探すなら引き返したほうが良いんじゃないですか?」
御風「それもそうだ…ここから先は魔物も弱くなる一方だし、ここから先に進んだなら…むしろ安全って言うもんだ」
あにちゃ先生「ナリアのレベルから言って1人でここまで来れるのは奇跡に近いし…
戻る途中で見つかる可能性はあるかもしれないわね…
う〜〜ん…とりあえず一度合流しましょう…結論はそれからでいいでしょう?」
御風「あぁ、俺はそれで賛成だ…
もしナリアがナーレに着いていたら友達のテリィに保護して貰う様に頼んであるからなぁ…」
チャーチル「わかりました。じゃ、A地点に向かいますね?」
3人の会話が終わると宝玉、水の精霊から光が消える。
どうやら村を代表して先生と御風さんはボクの捜索にここまで来てくれたんだな…
まいった…真剣にオオゴトになっちゃってるな…これは…
????「みんな心配してくれてるんだな?チャーチルちゃんはナリアくんを探すために二人に付いてきたんだね。」
チャーチル「…ナリアを怒るために来ただけです…。別に心配なんてしてません…」
と、歯をグッと食いしばる横顔…
だけど…いまだに涙が少し滲んだ目じりは本当にボクを心配してくれてたんだと理解できる。
ボクの心の中が罪悪感で満ちる中、チャーチルは土で汚れたローブの裾をパッパと払いながら
ボクに背を向けて言った…
チャーチル「とりあえず…私はこれで行くね…」
ナリア「えっ?チャーチル…か、帰るのかい?」
チャーチル「だって…私はナリアを見つけられなかったって二人に言ったじゃない。
今更、ナリアを止めたりしないわょ…」
????「えっ?チャーチルちゃんは水都ナーレに行かないのかッ?
行ってくれるなら「料金2倍」でオレはとっても助かるんだけど…」
ナリア「 …………… 」
チャーチル「あはは…ナリアの馬鹿チンをお願いしますね。
私は先生と御風さんをうまく誤魔化しておきますんで…」
ボクは…これでいいのだろうか?
????「チャーチルちゃん、せっかく仲良くなれたのに悲しいなぁ…」
ここで…チャーチルと別れて…
チャーチル「ありがとうございます。又、機会があればお会いできると嬉しいです。」
水都、ナーレを目指して…いいのだろうか?
????「そうだね、ナーレに来ることがあったらオレのところにおいで?
美味しい「バハメト鍋」を食べさせてくれるお店を知ってるんだよ?」
今、ボクが出さなければいけない答え…
チャーチル「あはは…楽しみにしてますね。
あっ!そういえば…これだけお世話になってるのに…
まだあなたの名前を聞いていないような?」
それは…
????「おぉっと!グラスのせいで名乗り忘れるところだったよ!
オレはイデアツー…」
ナリア「ボクも帰るよ…チャーチル…」
約束を忘れていたボクのために…危険を顧みず、ここまで来てくれた…
これがチャーチルへの……ボクの答えだ…
????「 !! えぇぇ〜〜〜〜ッ !? 」
チャーチル「 !? 」
驚愕の表情で目玉を飛び出す正義の味方と疑問符に満ちたチャーチルの振り返り際の目…
再三に渡って望み続けた水都ナーレへの道…
行けると信じたボクの道だけど…
ボクはそれを今、ここで…自分自身の決意で断ち切る…
旅の途中で出会った不思議な剣士…アレムさんの言葉…
アレム「 信じない勇気が要る事もあるということだ… 」
きっとアレムさんは迷いの森に強い魔物が蔓延っている事を知っていたのかもしれない…
だから村のみんなにボクの行き先を教えてくれたのだろう…
そんな中、こういう展開まで考えていたのかもしれない…
そんな時の為に、この言葉を贈ってくれたのだろう…
信じない勇気…
ボクは…ここまで…
1人じゃ来れなかった…
そうだ…ボクは…
ナリア「ボクは信じちゃいけなかったんだ…自分ひとりで…水都ナーレに行けるって…」
????「 …………… 」
チャーチル「ナリア?ど、どうしたの、急に?」
ナリア「チャーチルとの約束を忘れて…村のみんなに迷惑を掛けて…なお、水都ナーレへ行こうなんて虫が良すぎる…」
????「ナリアくんは…水都ナーレへ行くことを諦めるのかい?」
ナリア「いえ…諦めませんよ…ただ、ボクは…一度帰ってから…
みんなにちゃんと話をしてナーレに向かう必要があると思うんです。
その時、許しが貰えるならば…1人でもナーレへいけるだけの実力を持って…
今度こそチャーチルと一緒に最初から旅を始めたいんです。」
????「 …………… 」
チャーチル「 …………… 」
そうだ…ボクは水都ナーレにどうしても行きたい…
ボクは…そんな真剣な思いをみんなにちゃんと伝えないまま旅に出た…
それが如何に卑怯なことかを置き去りにして行動してしまった…
ボクは、このままじゃ胸を張ってナーレに行けない!
ナリア「やっぱりボクは堂々と水都ナーレへの道をチャーチルと歩きたい…
ごめんなさい…ボクはチャーチルとナーレに帰ります。」
チャーチル「 ナリア… 」
嬉しそうにボクの名を呼ぶチャーチルの声は、
まるでそれが間違いではないと教えてくれているようだ…
都合がいいかもしれないけど、ボクは1から出直そう。
もう一度、真剣にナーレへの道を目指すために鍛えなおしだ…
????「なるほど、それじゃナリアくんからの依頼は「キャンセル」と言う事だね…」
と、かなり動揺した様子の正義の味方に乾いた笑顔が…
そうだ、この人には会社に帰ったら…怖い課長さんが待っているんだったっけ?
????「はっはっは…ま、まぁナリアくんなら…そぅ言ぅト思っテたよ?
もしもチャーチルちゃんヲ残してナーレに向かうなんて言ってイたら殴っているところさ?」
チャーチル「あ、あの…さっき絶対に私よりも驚いてましたよね?目まで飛び出してましたし…」
ナリア「普通にチャーチルまで水都ナーレに行くのを勧誘して、
帰ると分かったら別れの挨拶までしてましたよね?
しかも今、声が少し震えてるし…」
????「あ…あははははは…ま、負け惜しみやないからな!?
仕事無くなったなんて思ってないしなッ!
と、当日のキャンセル料は100%費用が掛かるってナリアくん知らないだろ!?
だからそんなこと言えるんだろ?キャ、キャンセル料は貰うからなッ!!」
と、料金500ドニアの請求書をボクに向かって突き出すと、
両手を地面についてボロボロ泣き崩れる自称、正義の味方…
この人、本当…不器用なまでに瀬戸際な生き方をしてるんだろうな?
御風「お〜い?チャーチルッ?どうかしたのか?ずいぶん遅いが?」
と、再度…御風さんからの通信が水の精霊へと届く…
話している間にずいぶん時間が経ってしまったようだ。
チャーチル「あっ!実はですね…今…」
ナリア「ちょっと待ってチャーチル…先にお金をちゃんと払わないと…」
????「あ〜もう、二人ともッ!さっさと先生達の所に行けよ!
報酬は次に水都ナーレで会ったときに貰うからなッ!!」
報酬を皮の袋から取り出す間も無く…
自称、正義の味方は蒼いマントを翻して背を向けると髪の毛を無造作に掻きながら歩き始める。
それでも優しい声で…ボク達に言ってくれた…
????「水都ナーレでキミ達に出逢えるのを楽しみにしているよ…」
気付かないうちにやってきた夜明け…
崖の向こう…少しずつ零れてくる朝日の光を背に受けて、蒼いマントが光り輝いていく…
ナリア「ちょ、ちょっと待ってください…ボク達、まだアナタの名前を聞いてないッ!!
それにアナタはイデアの人じゃないんですか?」
????「はっはっは…水都ナーレで会えるのには理由がある…
名前に関しては…ここまで名乗るチャンスがなかったんだ。
水都ナーレで出逢えた時に…それも教えてあげるよ?」
その言葉を最後に、蒼いマントを身につけた少し戯けた剣士は坂の向こうへと消えていった…
………………………………………………
…………………………
そうだ…
あれはもう6ヶ月前の話だ…
ナリア「長かったね…」
チャーチル「そうだね〜…ここまで来るのに18日掛かったけど、
先生や御風さんよりも早く着いた方じゃない?
村での最短記録更新?」
ナリア「 …………… 」
もっと深い意味で言ったんだけど、まぁいいか…
うん、確かにチャーチルの言う通り…
先生達の記録じゃ20日は掛かったって聞いていたからな。
確実に記録更新だろ、これは…?
村から5度目の森を背にして、丘の向こうに延びる平原の先…
実際には大きいはずになのに、小さく見えている街へは数時間も歩けば辿り着ける
逆に村では見たことが無かった水平線に囲まれているその街は大きな川も伸びていて…
まさに水都と呼ばれるに相応しい…
ナリア「すごい…綺麗な街だ…」
チャーチル「だね〜…私たちの村と同じなのは…」
ボクの村と同様なのは…時折、姿を見せる魔物たち…
小さな林檎のお化け…アッピーに
楽しそうに走り回っている…野うさぎ…
それでも、この街にはボクの…ボク達の夢がたくさん詰まっているんだ…
抑えきれない衝動はボクの心を突き動かした…
抑えきれない思いがボクたちの心を突き動かした…
忘れようとしても忘れられない…あの気持ち…
もう一度…あの場所へ…
もう一度…あの場所で…
あの日から…長かった…
あの日から…本当に長かった…
待ちわびたこの日…
そうだ…あの人に逢う為に…
そうだ…あの感動に逢う為に…
ボク達の本当の旅は…
ボク達の望んだ旅が…
ここから始まるんだ…
ナリア「さぁ、チャーチル!」
チャーチル「そうだね、ナリア!!」
『 『 『 水都、ナーレへ行こう! 』 』 』
題名 : 水都ナーレへ行こう!! END
作者 黒山 琴音
協力 アレム
あにちゃ
御風
せきらく
クラージュ
おけな27
☆はな〜♪☆
百絵
stall
テリィ01
GEIZU
GM16ビット
(順不同)
…………
????「さて…」
????「そろそろ活動できますかね…?課長…?」
百絵「さぁ?あなた次第じゃないかしら?どう思います?おけな社長?」
おけな「はっはっは…今回は彼女が社長だよ…?私は「本店の社長」でキミ達のサポートが役目だ。」
クレス「ナッハッハッハッハ…私に社長役?この人事は…潰してもイイって事よね☆
会社の経費も使い放題☆ 誰にもコノ役得…ワタサネェッ!!」
☆はな〜♪☆「そんな事…元次長改め「参謀、☆はな〜♪☆」が許さないんだからッ!!
それに今回からは頼りになる「主任」が来てくれるんだから!ね、GEIZUくん☆」
GEIZU「クラージュ様の命で今回からボクも入社させていただきますよ?皆さん…」
????「そっか…会長や専務…それに係長以下…他のみんなにも又、連絡を取りたいけど…」
????「 活動開始ですね… 」
環を巡り、時計の針が再び出逢うように…また彼らも還ってくる…
coming soon!!
「 run! idea tourist's YasunoV
Welcome to Rainbow hill branch! 」